三味線をなめる?

悔しい
すごい言葉を聞きました。

ある方の三味線の演奏を手伝いました。
慣れない場所、初対面のスタッフの中で話し合い、手伝いながら
いろんな準備を進めて行きました。

もう少しで準備が整うといところで
音響の人が三味線のボリュームをあまり上げてくれないことが気になり
もっと三味線のマイクの音を上げてほしいとお願いしたところ
「いいんだよ、これくらいで。ノイズになるから。」
と音響の方に言われました。ノイズ???
音を上げたいと交渉してみたのですが、音響としては
このボリュームを譲れないと言われました(汗)

私はそういわれて、やや自分の意見を押さえてしまいました。
そういうものかと思いました。演奏をする三味線の方もその場にいて、
それでいいかと心配になって顔を見たのですが目が合いませんでした。
仕方ないかと思って別の階に移動する時、その演奏者の方と
二人でエレベータが一緒になりました。

その方が独り言のように言いました。

「三味線をなめやがって」

すごい言葉でした。
音響の方に対する怒りで言われた言葉ですが、
背中しか見えない姿で言ったその言葉に
私は何も言えませんでした。私も責められていると感じました。
その場で意見をひっこめた責任を感じて
自分の中途半端さにぞっとしてしまいました。
普段穏やかなその方の、三味線に対する思いや、本気さを感じました。

津軽三味線を何十年も本気でやって来た方です。
私が思う以上の怒りがあって、その場では怒りのあまり
一言も言えなかった思いや怒りが
ふとエレベータの中で一言となって出たのです。

「いいんだよ、これくらいで。ノイズになるから。」
思い起こしたらひどい言葉です。なぜこの言葉に怒らなかったのか
その場で意見を引っ込めてしまった自分で自分にとても腹が立ちました。

津軽三味線は音の強さが勝負です。驚くような大きい音と繊細な音の
絶妙な混ざり合いこそが津軽三味線です。
その大きい音をノイズと言われたことに
私は違和感は感じたものの、怒りにはなっていなかったのです。

津軽三味線は、すごい音をこれでもかという音で
勝負する世界なのに音響の方の意見に耳を傾けて、
あなたにこんな屈辱を味わわせてしまってごめんなさい。

「あの、ボリュームを上げてください。ノイズではありません。
 三味線の音です。全部拾ってください。
 これが大切な津軽三味線の音です!」


こう言えなかった私が一番いけないです。
すいません。三味線をなめていたのは私のほうです。
私がその場できちんと主張しなかったあまり
大切な方を傷つけたような気がしました。
三味線のために、きちんと交渉しないとだめでした。反省です。

そのまま始まっていった本番の中で
その方の演奏は、すさまじかったです。
マイクの音量など関係ないといわんばかりの
強く激しい演奏でした。怒りや厳しさ激しさを感じる演奏でした。
生の音でも、会場にしっかり強く響き渡る力強い演奏でした。
その音を聞きながら、私はとても深く反省しました。
演奏中ずっと怒られているかのようでした。
でも津軽三味線の心を教えられました。
自分のあまさや弱さを反省すると同時に
とても勉強になりました。本当にありがとうございました。




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No title

こんばんは、邦風さん!

『なめたらアカンぜよ!』
極妻のあのセリフが頭に浮かんできました。
音響の方も悪意はなかったのでしょうが、
無神経なひとことですね。

邦風さんのブログから、演奏者の抑えた怒りが
ヒシヒシと感じられます。
きっといつも以上に鬼気迫る演奏だったのでしょう。

世の中いろいろ難しいですね。

コメントありがとうございます。

こんにちは。いつもコメントありがとうございます!

まさに 『なめたらアカンぜよ!』
という言葉が浮かぶような
迫力のある演奏でした。素晴らしかったです。

音響の方にも全体を整える
プロとしての役割があるので
悪意はないのできちんと相談、交渉しなければ
いけないところを私ができなかったのが
とても申し訳なかったなと反省しました。

これからは演奏者のためにも
ちゃんと演奏者が納得いくような状況を
きちんと整えようと思います!
いい教訓になりました。

No title

感情沸き立つ思いをしたんですね。
準備の経験でもいろいろあるものですね。おつかれさまでした。

三味線やる方から見たら…
三味線の音の特性も知らないで知ったような横柄な態度だと腹が立ちますね!
まして真剣に向き合ってきた方ならなおさら心底マグマが上がってきた心持ちだったでしょう。自信ないとできないのかもしれませんが、上から目線の人けっこういますよね。

一方、ちょこっと機材をいじった経験から観る音響サイドの立場からは…

三味線の音は楽器の中でも非常にアタックの強い音色です。
叩いた時の瞬間の音のレベルだけが非常に高く出て、音が伸びないのでその後の減衰が速いのが特徴といえます。

マイク・ミキサーに入力する音のレベルはピークというある地点を越えないように調整されます。
それを超えると音が割れたりひずんでしまうことがあるんですね。
ノイズというのは本人としては三味線をバカにしていたのではなくてその「クリップ・ノイズ」を言っていたつもりだった可能性があります。
となるとその方の演奏のパワーがすごかったためにレベルをそこまでしか上げられなかったとも考えられます。

詳しくは…三味線はアタックが強いのでそのアタックがピークを越えないようにレベルを調整することになります。アタックに合わせたレベルに調節されるということになるわけですね。
すると小さい音や叩いた後の音の余韻などはそれよりずっと音量差があるので小さく感じます。
もっと上げたいと思うけれど、思ったほどレベルをあげられないということになりやすい音色といえます。
そういう音のバラつきを少なくしてやるためにコンプレッサーというエフェクターを通すこともありますが、生の音を大事にし、生楽器のソロなら他の楽器に埋もれたりバランス取りを考えなくてもよいので使わないかもしれません。

もしそんな事情があったとしても、音響の方は説明不足のために三味線奏者に不快な思いをさせてしまった結果になっていると思います。

納得してもらう伝え方、説明の仕方はとても大事ですね。

そうなんですね!

えんぱちさん

コメント&アドバイスありがとうございます。
そうなんです。演奏者の方の気持ちをもっとのせられる
準備をしなければと思いました。

いろんな楽器がでてくる舞台な上に
三味線のイメージが、細棹のイメージのようにとらえている感じだったので
小さめの音に調整している感じもあって、再現したい津軽三味線の
音のイメージにずれがありました。

えんぱちさんは機材をいじった経験もあるんですね!
あまりの詳しさにびっくりしました。
たしかに 三味線の音はアタックの強い音色で
叩いた時の瞬間の音のレベルだけが高く出て、
音の減衰が速いんですよね。
ノイズというのは「クリップ・ノイズ」を言っていたんですか!?

「クリップ・ノイズ」という言葉自体全く知りませんでした(汗)
なるほど、レベルを整えるためにそこを調整していたんですね。
もう少し詳しく説明を聞いて伝えてあげられれば
誤解がなかった気がします。お互いにいい舞台になるよう
ベストを尽くそうとしているはずなので
どのようなことを考えているか、意見交換や情報交換をする場を作る時間が
とれなかったのもよくなかったです(汗)

「ノイズ」=「雑音」と受け止めてしまっていたのですが
音響の方のおっしゃっていた意味と違っていたのかもしれません。
ありがとうございます!目から鱗です。
演奏者の方にもまたお会いする機会があるので
この話をしてみます。本当ににありがとうございました♪


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非公開コメントをいただいた方へ

コメントありがとうございます!

コメントを読んでほっとしました。
でも、何かいろいろ大変だったのではと心配しています。
そしてブログまで見ていただき感謝です。

そうなんです。それぞれの立場でのこだわりがあるので
お互いの主張を良く聞いて、ちゃんと落とし所をみつけられるよう
自分を成長させなくてはと思いました。

伝える力はとても大切だと実感しています。
仕事でも三味線でも、曖昧なことを言葉にしていくのが
とても難しいです。でもここを避けていては
それぞれの世界のいいところも伝わっていかない感じがするので
分かりやすく的確に伝えられるように
表現力を豊かにしたいなと思っています。

これからも頑張ります!

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コメントありがとうございます。

ありがとうございます。
どうか無理なさらないようにしてくださいね。
ゆっくりすることが今は一番大切だと思います。
毎日忙しいと思いますが、とれるタイミングで
気持ち的にも体的にも、しっかり休息をとってあげてください。
こちらのブログの方でつながっていて
話が出来て良かったです。安心しました。
私も毎日いろんなことで喜んだり落ち込んだりしながら
なんとか毎日をがんばっております。
これからもいろいろ話しましょう。

プロフィール

邦風

Author:邦風
澤田 邦風(さわだ くにかぜ)と申します。東京で、仕事をしながらライフワークとして津軽三味線を演奏する日々を送っています。良い音色とは何か、日々追求しつつ頑張っています。「邦風ホームページ」でも活動が見られますので、見てみてください。

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