音のお返し



都内にある「盲学校」までやって来ました。

目の不自由な子供たちの前で、津軽三味線の1時間の演奏です。

子供たちに向けた本格的な演奏は初めてです。
目が不自由な子供たちに演奏するために
大切なのは見た目ではなく、奏でる「音」の質です。

盲学校7

演奏する衣装はどうしたらいいのか迷いましたが
きちんと心のこもった演奏ができるよう
しっかりと着物を着て舞台に立つ事にしました。

着物を着て演奏する緊張感や真剣さが
「音」に現れて伝わるような気がしたからです。

今日の舞台は「音」が勝負です。ごまかしがききません。


盲学校6

そして、私が得意な絵やデザインや
大げさな身振りも見た目のパフォーマンスも
ここでは効果が発揮できません。頼りになるのは私の語りかける声と
そして演奏する音色しかありません。思わず緊張しました(汗)

「みなさん、初めまして。澤田邦風です。
 今日はみなさんとお会い出来て嬉しいです。
 津軽三味線の演奏頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。」


盲学校8

集まってくれた小中学生を前に
いつもより丁寧にドキドキしながら挨拶しました(汗)
今の私の挨拶する話し方や声で、私はどんな人に感じられているんでしょうか。
そして何よりも津軽三味線はどこまで興味を持って
楽しんでいただけるでしょうか。何曲も練習してきましたが
すぐに飽きられて退屈してしまうでしょうか。
今日の演奏どうなるでしょうか。まったく分かりません。

恐る恐る演奏を開始していきました。


盲学校5

今回は兄弟子に頭を下げて、演奏を助けていただきました。
初めて子供たちが聴く三味線の音を
出来る限りしっかりときちんとした音色で伝えようと言ってくださり
何度もこの日のための練習に付き合ってくださいました。

この本気の思い、伝わるでしょうか。。


盲学校4

演奏に集中しました。子供たちがじっと音に耳を傾けてくれています。
子供たちにとっては聴き馴染みの無い、津軽の曲にも関わらず
驚くほど真剣に聴いてもらっているという
緊張感を感じながらの演奏の状態でした。

最初の1曲目を弾き終えました。
頭を下げました。シーンとしています。
水を打ったようにシーンとしているということは失敗でしょうか。。
ドキドキしながら顔を上げると。。。


盲学校3

会場からわっと拍手が出ました。
子供たちの一生懸命叩く手の音です。
少し間があったのでドキドキしましたが、とても喜んでくれているようです。

「三味線かっこいい!」「すごい!」

拍手に混じって大声で叫ぶ子供の声が聞こえました。
受け入れてもらえたようです。嬉しいです。感激です。
子供たちは曲が終わったかどうか、本当にこれが曲の終わりかどうか
その間を耳でしっかり確認して、そして拍手していたのです。
ありがたいです。思わずまた頭を下げてしまいました。


盲学校2

頭を下げても何が伝わるか、分かりません。
でもきっと気持ちは伝わるはずです。
さらに何曲も子供たちの気持ちを感じながら弾かせていただきました。
3人で心を合わせて本気の津軽三味線の曲を何曲も弾きました。

「もっと聴きたいです!」
「三味線の音って思っていたより強くてびっくりしました」
「また三味線弾きに来てほしいです」


会場から出た、子供たちの言葉に胸が熱くなりました。

演奏を終えて子供たちに身構えていた自分の鎧のようなものが
完全に外れていくのが自分でわかりました。
三味線を真剣に聴いてくれてありがとう。
そして拍手や手拍子や、温かい言葉をかけてくれてありがとう。
三味線、どうぞ触ってみてください。そして糸に触れてみてください。



盲学校1

子供たちが興味深そうに、次々に三味線に触れてくれました。
三味線の重さや感触、質感や、温かさや冷たさ
そして棹の湿気や、糸の音や、バチの感触について
とても瑞々しい言葉で感想を語ってくれました。

「三味線って好き。好きな音がする。不思議。嬉しい。」

沢山の素敵な言葉をいただけました。
津軽三味線って、やっぱりすごいなと思いました。
やはり理屈を越えたすごい力を持っている楽器だということを事を
実感しました。そして子供たちの感性ってすごいなと思いました。

「邦風さん、ありがとう。また来てほしい。」

緊張と不安でやってきた盲学校で、まさか
いただけるとは思わなかった言葉に感激しました。
そして控え室に戻ろうとしたところ。。

「邦風さん、今日のお礼にピアノを弾くから聴いてほしいです。」

音のお礼に音でお返しをしてくれようとする子供たちがいました。
嬉しいです。感激です。ぜひ聴かせてください。
ピアノに向かったその子供たちが真剣な表情になりました。

盲学校10


演奏し始めた瞬間に。。頭をハンマーで殴られたような衝撃を覚えました。
驚くほどうまいピアノの演奏を聴いたのです。
絶対音感ってあるんだなと思いました。
音の心や魂ってあるんだなと思いました。
そしてこんなに心のこもった素晴らしい演奏って
あるんだなと思いました。

理屈ではありません。涙が出てしまいました。
ここに来させていただいて
良かったな、この子たちに会えてよかったな
三味線をやっていてよかったな、そして生きていて
よかったなと思いました。

大切な事は「心」だと思いました。
私は何か大切な事を教えていただいた感じがします。
利益よりも結果よりも大切にする事があるということを
この子から教えていただきました。
私はもっともっと「心」を大事に頑張りたいと思います。
今日も三味線と仕事頑張ります。



■今日の演奏の様子です。
 http://kunikaze.jimdo.com/ボランティア/
 

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盲学校の子どもたちとの交流、とても心温かいお話で、ブログを見ているこちらも込み上げるものがあります。

子どもだから…とか、ハンデがあるから…とか。

音楽に限らず、私たちが頭で考える理屈って、結局のところ【後付け】でいいのかもしれませんね。

心に響く音…これからもいろんな方たちのところに届けて下さいね。
応援しています(*´ー`*)

ありがとうございます!

懐かし琴の君さま

ブログを読んでいただきありがとうございます。
盲学校に行かせていただき、様々な事を子供たちから
教えていただきました。

> 音楽に限らず、私たちが頭で考える理屈って、結局のところ【後付け】でいいのかもしれませんね。

本当にそう感じました。心に響く演奏のお返しをいただき
私ももっともっと頑張ろうと感じました。

> 心に響く音…これからもいろんな方たちのところに届けて下さいね。
> 応援しています(*´ー`*)

いつもありがとうございます。頑張ります。

邦風
プロフィール

邦風

Author:邦風
澤田 邦風(さわだ くにかぜ)と申します。東京で、仕事をしながらライフワークとして津軽三味線を演奏する日々を送っています。良い音色とは何か、日々追求しつつ頑張っています。「邦風ホームページ」でも活動が見られますので、見てみてください。

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