もったいない。




取れかけていたコートのボタンを、自分で縫いつけていました。

洋裁の先生をしていた母の影響かもしれません。
「まだまだこの服は直せば着れる。」そう思ってつい
多少のほころびは自分で縫って直してしまいます。


もったいない7

コートの裾のほつれも直してみました。
また古いコートを着ていると後輩に笑われてしまいそうですが(汗)
愛着のあるコートが、まだまだ着られそうで良かったです。

気分良く、早めに会社に着きました。清掃の仕事の方とお会いしました。


もったいない6

おはようございます。いつもありがとうございます。
挨拶してみましたが、清掃の仕事が大忙しで聴こえなかったようです。
男性の方が、ずっと何か独り言のように言っています。

「もったいねえな。これももったいねえな。」


もったいない5

ゴミ箱に捨てられた、ペンやノート、消しゴムや紙を
取り出しながら、真剣な顔でそう言っていました。
まだまだ大丈夫なものが、捨てられている事が残念で仕方ない
といった気持ちが表情に滲み出ていました。

なぜか、その表情が忘れないままエレベーターに乗りました。


もったいない3

「あの仕事うまくいってるか? どうだ? あいつ全然使えないだろ? 」

突然乗ってきた2人が、何かの仕事の誰かの事を話しています。
「使えない」という言い方がなぜか、とても私の耳に残りました。
物も人も、あっさりと切り捨ててしまう感覚に違和感を覚えたのです。

仕事を終えて、浅草に向かいました。
ここで、ある展示を見に行きました。


もったいない8

「布の絵画BORO ~美しいぼろ布展~」です。

三味線を教えさせていただいている方から教えていただきました。
ここに飾られているのは派手な絵画でも、大げさな彫刻でもなく
何世代に渡って大切に着た、青森県の庶民のボロボロの衣服たちです。
過酷な寒さから体を守るために、ほころびにツギを当て
沢山の布で補修し、刺し子をして、長持ちさせてきた
衣服や布団や腰巻きなどが展示されています。

針と糸で大切に布が何重にも繕われています。


もったいない4

間近で見るぼろぼろに補修された布は、最初ギョッとしてしまいますが
当時一着の服を補修しながらずっと着ていた重みを感じます。
そして静かに多くのことを語りかけてきます。

膨大な布の補修と、細かい糸の縫い目から
当時の貧困さと、必死さと、生活の厳しさと
生きるための真剣さを感じます。
それと同時に、物を大切にし、人を大切に考え
生きる事の大切さや温かさを感じていた
当時の方の心を感じてしまいます。

なんだかわかりませんが、じっと見ていると涙があふれてきます。


もったいない2

なんなんでしょう。この温かい気持ち。感動。

「物には心がある」
「布を切るのは肉を切るのと同じこと」
「本物のエコとは『人を愛する気持ち』である」


会場に展示された言葉が激しく自分の胸を打ちます。
とにかく新しいものを消費する社会に生きている自分が
忘れてしまいそうになってた事をしっかりと言い切ってくれています。
青森県出身の民俗学研究家、田中忠三郎さんの言葉だそうです。
日本人がもともと持っていた精神や、人や命を大切に思う
美しい謙虚でひたむきな気持ちをひしひしと感じました。


もったいない1

清掃の仕事の方の「もったいねえな」という言葉を
ふと思い出していました。と同時に「あいつ、使えない」と
言っていた方の言葉も思い出していました。
新しい事を次々に生み出す社会は次々に古い物を捨てて
切り捨てていく社会なのかも知れません。
使い捨てのように物や人を消費していく社会に
少しづつ違和感を感じていたのかもしれません。

一枚のぼろぼろの布が、今の私に大切な事を教えてくれました。

こんな現代において、いろんな方の目に見えない気持ちや
思いを大事にしていかなくてはと思いました。
昔の青森の方に教えられた気がします。

一音一音を大切にしていきたいと思います。
今日も仕事と、三味線頑張ります。





■布文化と浮世絵の美術館「布の絵画BORO ~美しいぼろ布展~」です。
http://www.amusemuseum.com/boro/


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素晴らしい

日本語には素晴らしい言葉がありますね
勿体無い、物にも心遣いにも使われる言葉
邦風さんの感性素晴らしいです
使い捨てなんて嫌な言葉も日本語なんですけどね
物にも気持ちがある、犬も動物も物として
扱われますがちゃんと気持ちがあります
もっともっと勿体無いを大切にしないとです

コメントありがとうございます。

サーフさん

コメントありがとうございます。
そうなんです。日本には素晴らしい言葉と
素敵な精神があるということを
1枚の布が教えてくれました。
昔の方は、物にも人にも活かしきらないと
勿体ないという精神があったようです。

「もったいない事をした」「もったいない人をなくした」

こういう考え方や、言葉を用いていた
昔の方の、感性、そして精神を見習いたいと思います。

> 物にも気持ちがある、犬も動物も物として
> 扱われますがちゃんと気持ちがあります
> もっともっと勿体無いを大切にしないとです

私も、自分を反省して物の心を、人の心を
大切にしていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
今日も三味線、1音1音大切にしながら頑張ります。

邦風

素晴らしい言葉です

「勿体無い」現代にもっと広がるべき言葉であると思います。
生活してきた、環境なのか 私自身もこの言葉を常に意識して生活しています。
この世に存在するモノには与えられた役割があると私は信じています。

新しい物を生み出し、古い物は捨てて行く社会は如何なものかと思います。
昔の生活環境や その時代の言葉、考え方、もう一度見直し、いい事は現代風にアレンジすることに今後の自身の生活にヒントになるかと思います。
何時も何時も、邦風さんの言葉には感銘を受けます。
ありがとう。

Re: 素晴らしい言葉です

sabowさま

コメントありがとうございます。

「もったいない」という言葉、
海外の方やメディアにも注目されましたが
本当に身にしみて良い言葉だなと感じます。

> 生活してきた、環境なのか 私自身もこの言葉を常に意識して生活しています。
> この世に存在するモノには与えられた役割があると私は信じています。

素晴らしいです。出逢った存在に愛着と責任を感じて
最後まで大切に向き合うという日本人の精神は
これからも持ち続けて行きたいなと思います。

つい新しいものや、最新の考えにばかり目がいってしまいますが
昔からある大切な考えで失っては行けないものを
この一枚の布から学ぶことができました。
この展覧会を教えてくださった方に感謝しております。

> 何時も何時も、邦風さんの言葉には感銘を受けます。
> ありがとう。

とんでもないです。こちらこそ
いつも温かい言葉をいただいて感謝しております。
今日も仕事と三味線頑張ります。

邦風
プロフィール

邦風

Author:邦風
澤田 邦風(さわだ くにかぜ)と申します。東京で、仕事をしながらライフワークとして津軽三味線を演奏する日々を送っています。良い音色とは何か、日々追求しつつ頑張っています。「邦風ホームページ」でも活動が見られますので、見てみてください。

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